「自己託送」とは
「託送」とは電力会社(=一般送配電事業者)が保有している送電網を利用して、電気を送ることを指します。通常、電気を利用する契約をすれば、小売電気事業者が手続きを行って送電してくれますが、それら手続きも自身で行ない、自ら保有(またはオフサイトPPAで供給契約)する発電所から、自ら保有する施設へ電気を送ることを「自己託送」といいます。

自己託送をするメリットは
1.「再生可能エネルギー賦課金」の支払い義務がなくなる
下の図は2012年以降設定された1kWhあたりにかかる再生可能エネルギー賦課金(以下、再エネ賦課金)の価格です。電気使用量が増えれば乗算でこの再エネ賦課金も支払わなければなりません。

- 50,000kWh☓3.36円=168,000円/月
- 168,000円☓12ヶ月=2,016,000円/年
単純計算(*1)で年間200万円以上の再エネ賦課金を支払っていることになります。5年間だと1,000万円にも膨れ上がります。企業としてはこれを削減して営業利益に上乗せしたいところです。
これをするには発電所を保有(またはオフサイトPPAで供給契約)して、自己託送をする必要があります。自己託送をすると、その分の電気代を小売電気事業者に支払わずに済むので、再エネ賦課金の支払い義務がなくなります。
*1=再エネ賦課金の減免認定を受けていないものとして計算
2. 二酸化炭素排出量の削減になる
従来、通常の契約で電気を使用している場合、その電気には一切の「環境価値」は含まれていません。なぜならどの種類の発電設備で発電された電気かわかるように「トラッキング」されていないからです。
その電気を使用しているということは、火力発電などの化石発電も利用していることとなり、二酸化炭素排出に貢献してしまっていると言って過言ではありません。その部分を解消することも「自己託送」のメリットになります。

例えば、1ヶ月に50,000kWhの電力のうち、半分の25,000kWh/月を太陽光発電所の保有もしくはオフサイトPPAによって産出し、自己託送をすると、実質従来の半分は二酸化炭素排出量削減に貢献したことになります。
「自己託送」をしたのち、不足する電力(前述の例では残り半分の25,000kWh/月)は、契約している小売電気事業者から、別途購入することになりますが、もしその事業者が再エネ電力メニューを提供しているのであれば、それを利用することにより、すべての使用電力が再エネ100%となり、二酸化炭素排出量をゼロにすることも可能です。
自己託送をするには託送料金がかかる
前章の通り「再エネ賦課金」と「二酸化炭素排出量」の削減には繋がりますが、1つ削減できないものがあります。それが「託送料金」です。地域や契約内容によって価格が異なりますが、東京電力パワーグリット管内における託送料金は以下の通りになります。
- 低圧電灯:10円97銭/1kWh
- 低圧動力:16円71銭/1kWh
- 高圧:11円45銭/1kWh
- 特別高圧:7円52銭/1kWh
(従量接続送電サービスの場合、2020年7月時点)
この託送料金は、自己託送でも通常の電力契約でもかかるものなので、自己託送にしたから追加でかかる料金というものではありません。あくまで電気を使用する全員が負担せざるをえない電線使用料です。
どこにでも自己託送できるわけではない
自己託送のキーポイントは「自己」です。上述してきたように太陽光発電所を「自ら保有する(またはオフサイトPPAで供給契約)」ということが必要になります。さらにもうひとつ条件があり、電気供給地点の所有者が自社(または自社に関連する施設)でなければ自己託送はできないということが、電気事業法で決められています。
1. 自己託送が可能なケース

2. 自己託送が不可能なのケース

自己託送をはじめるための手続き代行
自己託送は、条件を満たしたからといって、そのまま電気が自動的に送られるわけではありません。いくつかの専門的な手続きや申告が必要になります。

このように一読しただけでは理解し難い手続きが必要になります。当社で発電所の契約をし、自己託送を希望される場合は、手続き代行も行ないますので、詳細はお問い合わせください。