電力自由化と電気流通の仕組み

日本では公共インフラのあらゆるものが民営化や自由化されてきました。日本交通公社はJTBへ、日本電電公社からNTTへ、郵政事業は日本郵便へ、国鉄はJRへ・・・。電気も2016年から自由化され、市場が開放されました。
電気の小売事業に参入している事業者は令和3年8月25日現在で730社にもなりました。そこでこの記事では電力自由化で変わったことと、現在電気はどのように供給されているのかを解説いたします。

電力自由化とは電力市場開放のこと

従来、電力市場は限られた会社のみに開かれたマーケットでした。遠く遡れば、太平洋戦争下に「軍需省」と呼ばれる戦時下軍需統制によって国に組み込まれたものが、終戦後の1950年に電力事業が旧一般送配電事業者に分割されたことに端を発します。
旧一般送配電事業者とは、多くの方がご存知の旧東京電力、旧関西電力など、各地方に存在した10社のことを指します。昔使われていた言葉でいう「9電力体制」のことで、1988年に沖縄電力民営化が行われ10社となりました。

電力自由化とは電力市場開放のこと

「旧東京電力」と記述したのは、現在は「東京電力」とひとくちに言っても、「東京電力エナジーパートナー(電力供給部門)」「東京電力パワーグリッド(送配電部門)」などに別れているからです。
このように電力供給部門と送配電部門が分けられたり、発電事業者や高圧電力を扱う特定規模電気事業者から順に市場開放され、一般家庭や小規模事業所まで含まれる完全自由化は2016年4月に行われました。
これにより新電力と呼ばれる小売電気事業者が立ち上がり、各家庭や事業所などに電気を販売する活動が始まりました。これら小売電気事業者は発電所を持っていなくても、市場で電気を仕入れて販売することが可能です。
では、現在の電気はどのような形で各受給企業に供給されているのでしょうか。

電気が供給される仕組み

電力自由化前は旧一般送配電事業者が、発電から販売、送電までを一括で行っていました。ですから、受給企業から支払われた電気料金は、電力会社の中で事業部ごとに按分されていました。
電力自由化後は、販売会社にあたる小売電気事業者が受給企業と「電気需給契約」を結び、必要な分の電気量を調整し、発電事業者や日本卸電力取引所(JPEX)から電気を仕入れます。その電気を送配電事業者に送電を委託(託送)し、受給企業に送り届けます。
お金の流れは自由化前は二極で流れていたものが、自由化後は販売会社を中心に流れるようになり、電気の流れは量の調整(需給調整)は販売会社が行い発注、発電事業者や市場から送配電事業者を通して供給することになりました。

電気が供給される仕組み

電気を供給するために大切なこと

電気の供給には大切なことがいくつかありますが、一番大切なことは「同時同量の原則」です。そのため販売会社は30分単位の「需給管理計画」を事前に立て、使う電気と送る電気の量を一致させます。
送電量計画に乖離が生じると「インバランス」となり、ペナルティとして懲罰料金が課されてしまうのです。つまり電力自由化後、小売電気事業者に求められているスキルのひとつは「需給調整」なのです。
それからもう1点、電気は電線を伝って送られるわけですから、小売電気事業者が持っていない送電網は、送配電ができる事業者に託さなければなりません。それが「託送」で、その対価が「託送料金」です。
この2つの項目についてはより詳しく、別の記事でご説明いたします。

電気の「託送」とは電気の性質と需給管理・インバランスについて